Q008 役員報酬の適正額はいくらでしょうか?

Q
年末に「手術が必要な癌である」と診断され、今年に入ってから入院し癌の摘出手術を受けました。
高額療養費制度により、手術等があっても入院中に支払うのは10万円/月程度です。
それ以外に他院受診や私費診療で計30万円ほど、かかっており、普段の年よりも医療費負担が大きくなります。
また、がん保険に加入しており数百万円をもらえるようです。
会社社長なので、自身の給与をある程度自由に設定出来る立場なのですが、今年の給与をいくらにするとお得でしょうか?(30代男性)


A
手術、大変でしたね。同じ30代男性としては他人事とは思えません。
無事に終わったのであれば良いのですが。

「今年の給与をいくらにするとお得か」とのことですが、税金を抑える形で役員報酬や給与の額を決める場合、「法人の税金」と「個人の税金」のトータルで最も有利になる方法を考えるのが通例です。
ですが今回は法人の状況が全く分かりませんので、個人の所得税が最も有利になる方法を考えてみましょう。
最も有利と言うことは税額がゼロとなる(あわよくば親族の方の扶養となる)のが理想ですよね。
医療費控除を使い切った上その条件を満たすのは以下の算式です。

『給与所得(※1)-医療費控除額-その他の所得控除=0円』

その他の所得控除の部分は各種保険に加入しているかどうかや家族の人数等により変わってきますので、ここでは仮に「あなたより稼ぎのある妻と幼い子どもが1人いる(個人的な願望です。)」家族構成であるという前提で考えましょう(社会保険料は給与の額に比例しますので数字を当てはめにくいため除き、生命保険はなかなか加入しづらいでしょうから今回は度外視します。)。

まず、その他の所得控除は基礎控除のみの38万円。
次に医療費控除ですが、1月から4月まで入院したとするとその分で40万円。プラスその他の診療30万円とのことですので、医療費は70万円となります。一般的に医療費控除は「医療費の額-10万円」で計算しますので、医療費控除は60万円とします。
そうすると給与所得は98万円がベストということになり、給与所得控除額を65万円と考えると給与の額面は163万円強。
それを月割りにすると14万円弱が「医療費控除をほぼ満額受けることができ、かつ、奥様の扶養に入ることができる」最適な金額です。
ずいぶんと少ない額になってしまいましたので、会社の税金やご家族の生活が心配にはなりますが、「高額療養費で自己負担が月10万」という事は元からそれほど高収入では無いようですし(※2)、奥様の稼ぎや保険金もありますからやりくりできるでしょう。
(ちなみにこの額だと医療費控除の額がちょっと増えることとなりますが、面倒なのでそのままにして
おきます。)

蛇足ですが、できれば会社の状況も考慮に入れてシュミレーションされることをお薦めします。

(※1)給与所得=給与の額面金額-給与所得控除額(最低65万円)
(※2)「高額療養費で自己負担が月10万」という事は、標準報酬月額(≒月収)が53万円未満になります。