Q010 税務署員のせいで繰越控除が受けられません

Q
数年前から少しですが不動産収入があり、株と先物の投資もやっているので毎年税務署に行って税務署員に色々聞きながら確定申告書を作っています。
一昨年、投資で大損したとき、税務署員に「損失申告すると来年以降利益が出たときに今年の損と相殺できますよ」といわれたのでそのように申告しました。
去年の投資成績はほぼトントンでしたので、税務署で税務署員と相談しながら不動産の分だけ申告書を作り、その場で出しました。
今年ちょっとですが投資で利益が出たので、一昨年の損と相殺しようと思ったところ、「去年の申告書に一昨年の損が載っていないので、一昨年の損はもう使えません」と言われてしまいました。
そのルールの説明はされていたのですが、去年も税務署で相談しながら申告書を作ったのにこういうことになり納得いきません。
怒鳴り散らして帰ってきたのですが、どうにかする手はないですか?(50代女性)



大変お気の毒ではありますが、「どうにかする手」はありません。

個人の所得税は、誰にでもわかりやすいように1/1~12/31の1年間で計算されます。
計算期間の数少ない例外として、損失が出たときに翌年以後3年間その損失を繰り越す制度があります。
この制度で繰り越せるのは

  • 事業や不動産賃貸の赤字
  • 自宅の災害損失や現金の盗難による損失
  • 株や先物の取引による赤字

といったものに限定されています。
また、重要な条件として、損失が発生してから継続してその損失が記載された申告書を出すということがあります。

手続きの流れは、

①損失発生年
→ 繰り越す損失を記載した申告書を提出
②発生後控除前の年
→ 何も作業がなくても損失額を記載した申告書を提出
③損失控除年
→ 繰越額の控除計算をした申告書を提出

となり、すべて整わないとこの制度は受けられません。

一昨年の税務署の方が言った「損失申告」というのは①のことです。

今回の場合、一昨年に①の手続きはしているのですが、昨年に②の手続きをしなかったため損失の控除が受けられなくなってしまったわけです。
②の申告が抜けてしまったのはホントに痛いですね。

本当であれば、昨年、相談を受けた税務署の方が指摘すべきだったと思います。
責任を取らない人間が、人のお金についての相談に乗っているという制度自体、個人的には嫌いです。
もちろん税務署の方が皆無責任という訳ではありませんが、その方に当たってしまったのが不運でしたね。
もし税理士である私が同じミスをしたら訴えられるレベルの話ですよ、これは。

腹いせに怒鳴ったり暴れたりしても新たな問題を生むだけですので、税務署長に苦情のお手紙を書くくらいにとどめておいて下さい。
それによってどうにかなるとは思いませんけれど。