Q014 クラウドファンディングの経理処理

Q
Kickstarter ( http://www.kickstarter.com/ )や CAMPFIRE ( http://camp-fire.jp/ )等の「不特定多数から資金を集め何かを実現する」クラウドファンディングと呼ばれるものが台頭してきました。

CAMPFIREを例に取ると、お金を出す人は「パトロン」という表現で、お金は渡し切りで返ってきません。「リターン」という表現で、一定価格毎に物品やサービスが提供されます。経理上は普通のネット通販でと考えれば良いでしょうか?

studygift ( http://studygift.net/ )という女子大生に学費を「支援」するサービスが始まりました。この女子大生へ払ったお金はどのように税務面ではどのように扱われるのでしょうか?また、受け取った側ではどのような扱いになるのでしょうか? (30代男性)

A
一部でずいぶんと騒ぎになっているやつですね。私も楽しく騒ぎをみております。
サービス自体に関しては良いとも悪いとも思いませんが(むしろ関心がない)、税務上はなかなか興味深い案件ですので取り扱いを考えてみます。
以下、私見です。

(1) 支援者側の取り扱い
最初にサービスを目にしたときには「これは寄附なのではないか」と思いました。
そう考えると「女子大生との交際費」の件と同様、経費にはなりません。
所得税では「寄附金控除」という制度もありますが、これは国、地方公共団体、日本赤十字等に寄附先が限定されていますのでそれも受けられません。

しかし、話題のサービスでは「※お払いいただくお金は、寄付ではなくリターンに対する対価へのお支払いとなります。」という注釈がついています。
税法上「寄附」は「相手方からの反対給付なしに金銭などを贈与すること」つまり無償の愛の場合だけ。
「対価へのお支払い」と言い切っていますから寄附とはなりません。

また、相手は個人ですので出資にもなりません。

形態としてはお金を払ってサービスを得るわけですので、おっしゃるとおりネット通販に近い感じかと思いますが、その支出は何らかの経費になるのでしょうか。

所得税法上必要経費は以下の通り定義されています。

  1. 収入金額に対応する売上原価その他総収入金額を得るために直接要した費用の額
  2. その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

収入を得るためか業務に関連することが条件な訳です。
支出の対価として自分の商売と関係のないメールマガジンを貰ったとしても、それは趣味の本を買ったりするのと同じ事ですから、この条件には該当しません。(女子大生の生態に関わる職業であれば経費にできるかもしれませんが。)

今回の案件では10万円支払えばPR活動等も行ってくれるようですので、こちらは商売をやっている方は経費にできる可能性もあるかと思われます。広告宣伝費みたいなもんですね。
まあ私のクライアントが「広告の一環として10万円だそうと思う!」と言っていたら止めたいところではありますけれど。

つまり今回の事例で経費にできるのは「個人事業主が大学生の広告宣伝能力に期待して10万円を広告費として支出した場合」だけでしょうね。

(2)女子大生側の取り扱い
前述のとおり寄付ではないとのことなので、受け取った「支援」とは「リターンという役務提供への対価として受け取る金額」であり、つまり収入ですよね。
プラットフォーム側にも幾ばくかの金額を支払うようですが、これは「システム利用料」として純粋に経費になります。
つまり、

  • 受け取った支援=収入金額
  • プラットフォーム側への支払=必要経費

とした雑所得として所得税の課税対象になるはずです。
他にもPR活動に係る交通費や飲食代などがあれば必要経費に計上できると思いますが、確定申告は避けられないかもしれないですね。

確定申告をすることにより、所得税、住民税、健康保険の負担が発生したり、保護者の扶養から外れてしまう(保護者の所得税等が増えてしまう)可能性がありますので、プラットフォーム側に支払う金額も含めると本人が使える金額は案外目減りしてしまうのではないでしょうか。

サービス提供者が「対価」という言い方をしないで贈与として扱えば、少なくと110万円までは税金がかかりませんし、健康保険や税金への影響もなくなりますので、より有効なお金の使い方にはなるように思います。

※ 間に入っている会社がこれとは別個の取り扱いをしているケースは大いに考えられますので、あくまで目に見える範囲での判断です。